円安

今年を振り返れば、日本はコロナ過からの脱却に後れを取り、激動する世界の情勢に翻弄されたのではないだろうか。
円安と物価上昇に苦しめられ年を越そうとしている。
思えば、近年、世界が大きく変わってきているのだ。
過去、世界は民主主義と共産主義に二分化されていた。
共産主義のボスであるソ連が崩壊し、民主主義の勝利として冷戦は終わったのだと思う。
その後、勝利者アメリカにより世界経済は主導され、ドルが通貨の基盤となってきたのだ。
日本はそのアメリカの属国に近い形で、アメリカ化する世界の先鋭となることができた。
アメリカの影響力のおかげで繁栄してきたのだ。
これが崩れてきた。
欧米と日本、それに追随する一部の先進国が世界経済をけん引してきた時代は過ぎてしまった。
それに対応できない指導者、財界が今の現実を作っている。
コロナ、ウクライナ情勢とは切り離して考えなければいけない。
やはり中国がカギを握るのではないだろうか。
過去、日本を含めた先進民主国は、中国に進出し、安い労働力を利用し利益を上げてきた。
中国もこれによって経済発展を遂げた。
今、中国は、完全に経済的政治的に自立している。
強くなった中国はアジア、アフリカ、中南米の途上国に対して、経済援助を行い、地位を構築しているのだ。
今後、米中の対立を中心に世界の分断は進んでいく。
ウクライナ情勢をみても、実はロシアを支援している国は多いのだ。
ロシアへの経済制裁も実施する国は意外と多いものではなく、大きな力とはなっていない。
今後、資源と利権をめぐり、世界が大きく分かれ、もしかしたら細分化していくかもしれない。
今は、手を出さない勢力が多いのだ。
日本を含め、情勢を静観している。
対応するために必要なことだと思う。
しかし、複雑化していけば、その立場はいつ、どうなるか分からないのだ。
アメリカでさえ、予想はできない今後であろう。
欧米が、民主主義が、優位であった時代は終わりつつある。
資源を持たない国として我が日本は、切り捨てられる日に、自力で生き延びる準備をしておかなければいけないのだ。
国力を蓄えなければいけない。
ビジネスは、有益性を探らねばいけない。
国力としての防衛力を総合的に考える取り組みは重要であろう。
労働分配率は今後の日本経済のカギとなるだろう。
資本主義が衰退しつつある理由の一つに、実質賃金水準の低下だと思っている。
本来労働者が受け取るべき賃金を企業が独占している社会に発展はない。
政治も経済も、国の生き残りをかけて戦う時代がもう、そこに来ている。

物価上昇

物価の上昇が進んでいる。
この問題は、国民生活に大きな影響を与える。
つまり、政治への影響も今後大きくなっていく。
十分すぎるほどに政府は認識しているはずだが、今後どう対策を取っていくのだろうか。
失策すれば、政権交代もあり得ると、私は考えている。

物価の上昇を喜んでいる人もいるのは確かだ。。
普段から資産形成を行っている人にとっては、ありがたい場合が多い。。
何もせずとも、資産が勝手に価値を増やしてくれるからだ。
しかし、一般の市民にとっては、急激な物価上昇は家計を脅かすものである。
報告などを見ると物価上昇率は2、3%程度とある。
しかしこれは、下がるものもあり、上がるものもあり、その平均値をとった数字だ。
日用品は軒並み値上がりしている。
値上げをせずとも、その内容量を減らしたステルス値上げと呼ばれるものも存在する。
一般消費者にとっては、1割以上の値上げと感じられるものではないだろうか。
今後、国民は節約という手段で対抗せざるを得ない。
消費は抑えられ、景気は後退する。
しかし、先に言った通り、喜ぶ人もいるのだ。
景気指数はそう下がらないかもしれない。
これは、経済格差が広がることにつながる。
賢い人、経済的な強者は、投資信託など有利な方法を探る。
できない人は、その割を食い続ける。

国のかじ取りは重要だと思える。
賃上げが求められる。
しかし今だ、その方策は感じとれないのだ。
政治と経済は深く結びついているというのに。
こういう時こそ、迅速に動いてほしい。
動いても、国民全体に行きわたるのに、どれだけの時間がかかるのだろう。
この状況は予測されたことだし、今後も進むことは分かっている。
日本は、国民生活を守るために、どれだけのことができるのだろうか。
日銀の動きも分からない。
黒田総裁は、2%程度の緩やかな上昇を目指すとしている。
まったく現在の状況と乖離している。
今後どう動くのか、注意していきたい。

私は、インフレが悪いことばかりだとは思わない。
これまで、老後の蓄えとして、預貯金に頼ってきた人は多いと思う。
その認識は変えざるを得ないだろう。
お金の価値が変化する、様々なケースに対応できるように考えなければいけない。
国の方策と、国民の意識が変化の中でうまくマッチできるか。
できなければこの国は傾くだろう。
私たちは、考えて、リスクを理解したうえで、できることをするべきだ。
身を守り、弱者を救えるか。
国も真剣に考えてほしい。

 

気候変動

現在の状況を知り、適応し、よりよい選択をすることと同時に、10年先、20年先を予測し、その準備をすること、これはとても大切なことだと思う。
我々は日本という会社の従業員であり株主でもある。
よりよい未来を自らの手で作り上げていく努力は必要だ。
雇われているのだから、会社が何とかしてくれよ、という気持ちでは生き残れないかもしれない。
私たち日本人は、多くが勘違いしているのじゃないかという気が、私は強くしている。
日本という国は、他の国と比べて、優れている、立派で安心できる、と思っていないだろうか。
めったに見ないテレビだが、たまに見ると、日本を、日本人の文化を称賛するものを多く見かける気がするのだ。
これを真に受ける人は、たくさんいるのだろうか。
だとしたら、危機ではないのだろうか。
確かに美点はあるだろう。
しかし、日本はそんなに素晴らしくもないし安心でもないと思う。
常々思うことだが、日本人は調和を重んじる。組織の規律に従うことが大切だと考えている。
悪いことではないかもしれない。
しかし、個性をなくし、危機感も将来のビジョンも持てない人材がずっと作られてきてはいないか。
今、世界には革命的な人物がちらほらと表れてきているではないか。
その良し悪しは別として、トランプ、プーチン、習近平、…
彼らは選ばれてあの座にいる。
トランプは、制度の下で退いたが、今後もアメリカという大国でも、同じような人物は求められて、台頭してくる気がする。
それが時代の流れなのではないだろうか。
世界は実は危機にさらされているのだ。
気候変動、異常気象、未知の感染症、これらに影響を受けて資源の取り合いが始まり、債務の増加、生活の危機が招かれる。
これらは進行形なのだ。
今後、枯渇していく天然資源をめぐり争いは起こり、社会の結束は脅かされ、世界は分断され、侵攻は増えていく。
これに気象変動やウイルスが追い打ちをかければ、世界全体が疲弊していく。
その混乱に寄生するようにして、台頭する勢力は必ず現れる。
その餌食となりやすいのが日本かもしれない。
なんとなく、わが身には関係ないと考えがちなのが、日本人ではないだろうか。
調和を大切にする日本では、個性を重んじる教育は後れを取ってきた。
強者とは変化に適応できるものなのだ。
虎はどれほど強くても、種としては絶滅危惧種ではないか。
今後生き残っていくためには、意識改革が必要なのだ。
今後、私たちは未来を見据えて考えて行動できる必要がある。
若い世代には、その力を培ってほしい。