ゼレンスキー

G7が終わり、まあ、あんなものかという気がしている。
ゼレンスキー大統領の電撃訪問というサプライズがあり、成果をアピールしている風であるが、各国がこれ以上戦争に真剣に取り組むことはないのかもしれないなあ、というのが私の感想だ。
ゼレンスキー氏は、さらなる支援を求めている。
各国は、ある程度それに応えていくだろう。
しかし、アメリカは絶対に軍を派遣することはない。
ロシアと直接、事を構えれば、米ロ戦争は核戦争に繋がる。
ヨーロッパはEUという枠組みの中で、一枚岩ではない。
ウクライナ支援に不満を表明する国もあるのだ。
長く続く支援は自国の経済を圧迫する。
戦禍が長引けば、こうした各国の揺れはますます大きくなっていくだろう。
我々国民の関心が低下すれば、それは加速していくだろう。
G7とは、この関心をつなぎとめる大きな舞台だったのだろうと思う。
成果があったのか、どうか、正直私は分からない。

戦争を終わらせたくない勢力は確かに存在している。
ロッキード・マーティン社は武器を製造し、ブラックウォーターは兵士を派遣する。
その規模は大きい。
戦争はもうかるのだ。
世界のどこかで常に紛争は続き、軍需産業は何十兆という市場を生んでいる。
もし、世界から紛争がなくなれば、世界は失業者であふれるかもしれない。
我々日本の現在の繁栄も、過去の戦争のおかげという見方もできるのだ。
太平洋戦争で敗北し、ボロボロになった日本経済を救ったのは、朝鮮戦争によってアメリカから大量に物資や製品が発注された朝鮮特需だったという過去がある。
戦争が長引き、激化し、多くの人が死に傷つくほどに、企業は大きな利益を得る。
この企業に銀行や投資家は投資する。
運用された利益は経済全体を潤しているのだ。

ロシアを非難し、早期の和平を望むと声をあげながら、この戦争で多くの利益を得ている勢力は多く存在する。
私たちも知らずのうちに、間接的に戦争に加担しているのかもしれない。
あなたが銀行に預けたお金が、または投資信託に任せたお金が、軍需産業に運用されていないとは断言はできないのだ。

私たちは考えなければいけない。
調べなければいけない。
正義の定義は曖昧だ。
しかし、戦争の長期化によって、圧迫される景気に苦しむ人々と、経済活動の一つとして利潤を得る人が混在する世界はいびつだ。
何よりも命の危機にさらされる人々がいる。
関心をなくすことだけは許されない。

IT化の推進

IT化の推進という言葉を聴くようになってずいぶん経つように思える。
そもそもIT化とは、何なのか。
分かっていない人、置いて行かれている人も多い。
単純な話で、アナログで行っていた作業をデジタルに移行するだけの話である。
これにより、効率は向上し、労働者の負担は減るというのは確かだ。
しかし、それが労働者、企業のためになるのかと言えば、必ずしもそうとは限らない。
ドライバーは運転席に座っているだけで、目的地に人や物を運んでくれるだろう。
これが楽で助かるという人ばかりではないはずだ。
運転しなくなったドライバーは、ドライバーとは呼べない。
それでも働きたいと思うのか、働きたいと思っても、ドライバーという職種自体なくなるのかもしれない。
ドライバーが不必要となっても、生活のためにその職種にしがみつかねばならない人も出てくるだろう。
ドライバーを例にとったが、あらゆる職種でこういうことが起こるのかもしれない。
いかに生活のために働いているのだと言っても、労働にも意欲がなければ続かない。
労働者に限った危機感ではないのだ。
企業としても、自動化して効率化された業務は、システム業者に丸投げしたものであり、そこに努力はない。
IT化は、組織と人材を弱体化させる要因でもあるのだ。
はっきり言っていいと思う。
今後のIT化は人や組織をふるいにかけ、淘汰させるツールとなるだろう。

キャッシュレス決済に関しても、サービスはこれまで乱立してきた。
今後は撤退や縮小が目立ってくるだろう。
ペイペイとラインペイは統合した。
スマホ決済が躍進したと言え、やはりクレジットカード決済は安定して強い。
ただ、現金決済が消えていくのだけは確かだろう。

今後も変化していくだろう。
人の価値、組織の価値、物の価値、お金の価値が、動き、変わっていく。
これまで現金を取り扱うこと、人が働くこと、物を売ること、サービスを提供すること。
そういう当たり前のことに見積もられてきたコストが、意味のないものになる。
コストは原価だけではない。お金ですらない。
時間や疲労度、ストレスもコストだ。
この捉え方が、がらりと様変わりするのだ。
これについていけなければ、現社会の何物であろうと、今後は存在しえないのではないかという気がしている。
ITを導入すれば便利になる、と単純に考えている経営は失敗するであろう。
手段を目的化してしまう失敗はとても多いのだ。
今後、変化が加速多様化すれば、迷う経営者も増えるだろう。
あらゆる面で改革を迫られるのだろう。

コロナ

ようやく新型コロナの混乱から私たちは脱却しつつあるようだ。
一般の人にとっては、「たちの悪い風邪」くらいの病気と捉えていいだろう。
しかし、高リスクの人にとっては、依然警戒すべきウイルスであり、個々人で感染対策を講じると同時に、感染拡大を抑え込む配慮はすべての人に必要なのかもしれない。
徐々に、人の交流というのは活発になっていくだろう。
今後、経済に好影響を与えると期待している人は多いだろう。
果たして、どう推移していくのだろうか。

世界的に経済は緩やかに減速し続けてきた。
物価高と金融引き締めによる需要の停滞。
世界の経済と直結している中国経済の失速。
これが今後改善されるのは間違いないだろう。
アメリカやヨーロッパはインフレ下でも雇用や所得の環境は堅調に維持されてきた。
これからはこの環境下に於いて、緩やかにインフレの鎮静化、金利の緩和が進んでいくと予想される。
中国はコロナからの脱却により、経済成長を重要視した政策が進められるだろう。
欧米、中国の動きに従うように世界の経済は回っていくだろう。
しかしだ、欧米も中国も自国ファーストなのだ。
私たち日本の暮らしはどうなのであろう。
現在私たちの生活を苦しめているのは、雇用と所得の水準が物価の高騰に追いついていかないことにある。
今後先進国がいち早く経済活動を活発化させれば、エネルギー需要のひっ迫をもたらすかもしれない。
日本はしわ寄せを喰うのではないか。

私は日本がもうしばらくは、経済的に苦しむ状況から脱却できないのではないかという気がするのだ。
ウクライナ情勢は不安定なまま。
米中の対立は続く。
資源の取り合いは激化し、技術の流れは制限され、自国優先の政策が繰り広げられる。
日本の経済的安全保障は大丈夫なのであろうか。
先行きは好転する要素が多いのは事実だと思はう。
中国経済の復活とともに輸出産業が伸びると思われるし、インバウンド消費も好転するだろう。
ただ、不安要素も大きく存在するのだ。
インフレは改善されるのであろうか。
中国の不良債権は大丈夫なのか。
ウクライナ問題はいつまで続くのか。
台湾の平和は維持されるのか。
今後、急速にコロナからの脱却が進めば、私たちは浮かれるのかもしれない。
しかし、備えることはとても重要だ。
将来を予想して行動するだけではいけない。
政治は相場ではないのだ。
予想が外れたら損するだけではない、国民が路頭に迷う。
あらゆる結果を想定し、柔軟に対応できる体制が必要なのだ。
国家規模で、リスクを考えて慎重に行動すべきだという気がしている。