首相退陣

予定通りか、菅総理の退陣が決まり、自民党総裁選を自民党員や自民支持者のみならず、野党陣営も注目しているところである。
野党にしてみれば、面白くはないだろう。
世の中の問題点を、何かにつけて菅政権のせいにして攻撃してきたわけで、その相手が急にいなくなるわけだ。
誰が総理となったとしても、これから始める人間に責任を問うのも限界がある。
日本のリーダーの新しい顔に対しては、世論も少なからず期待を持つだろうし、それを頭から否定しては、そもそも低迷しきっていた野党の信用をさらに落とすことになる。
個人的には高市氏が面白いかもしれないという気がするが、誰が総理の椅子に座ったとしても、先はわからない、というのが予想だ。
候補者それぞれに、大したカラーの差はない。
ただ、今後やるべきことははっきりしている。
コロナとの付き合い方。
世界情勢を読んで、各国との付き合い方。
この2点が重要課題だろう。
どういうアプローチをしていくのかを注目したい。

私が原稿を書いている時点で、コロナの累計患者数は約167万人。
実際はこの4,5倍いてもおかしくないが、それは置いておいて。
死者数は1万7千人。
数字上、約1%の人が亡くなっている。
しかし、その中には、たとえコロナに感染していなくても、他疾患や高齢でなくなっていたであろう人も含まれているはず。
0.数%の死亡率ということになるだろう。
それでも、インフルエンザの死亡率に比べれば、10倍以上だろうし、肺炎を起こし重症化する可能性は高い。後遺症の問題もある。
ただ、報道はレアケースをセンセーショナルに抜き出し、実際にどれほどの危険度があるのか、あまり伝わってこない。
ワクチン接種もだいぶ浸透してきた。
いくらなんでも、もう、数字を基礎とした今後を予想し、そのベストな在り方を判断できるだろう。
感染予防にだけ徹するわけにはいかない。
医療機関のコロナ患者受け入れ態勢の構築、エクモなどの配置は急務だろう。
しかしエクモの操作には、専門的知識と技術を持ったMEの存在が必要だと聞く。
こうした人材の確保、もしくは簡易化された装置の現実化。
これらの構築を急がなければいけない。
子どもたちは、外に出るな、学校に行くな、運動するな、会話するな、無茶な要求を強いられている。
大事な成長期に大事な時間を奪われて、必ずや後の影響は出てくると考えるのは私だけだろうか。
感染を完全に食い止めることはできないと、分かったではないか。
社会は、今後も一定数の患者を受け入れながら、自由に行動できる日常を取り戻さなければいけない。
そのうえで、命の選別もありえるのだという議論を進めるべきだろう。
状況は刻々と変化していく。
机上理論で予測を立てることはあまり意味がない。
専門家の意見が信用できないことは存分に思い知った。
まだこれ以上も、感染者数の増減だけを取り上げて、政治利用する勢力があるなら、排除していかなければいけない。

もう一つ、外交関係。
アメリカの庇護を無くしたら、どうなるか。
アフガニスタンが証明してくれた。
しかし、アメリカに従属するだけでいいのか?
考える時期に来ている。
私はタカ派でも右派でもない。
しかし、外交は、譲歩させるか、するかのの世界だと思う。
日常的にその交渉を行うにあたって、軍備という後楯は必要だと思う。

思えば、似ている問題かもしれない。
コロナ対策も、外交も、守りを固めてきたこれまでから、前に進む政策を期待したい。

 

衆議院選挙

菅総理の事実上の任期も少なくなってきたのかなという気がする。
衆院選を菅総理で戦えるのか?
誰が代表だとしても、自民党が議席を減らす可能性が高いのではないか。
なら、選挙後に菅おろしが起こるのか。
今政権では、コロナ対策に追われたせいもあるが、何もできてはいない。
ただ、私は外交だけはある程度評価できるのではないかと思っている。
これまで、米国との同盟関係を良好に保ちながら、中国、韓国との距離を適度に保っている。
というか、つけ入られていない。
強い日本を示してきた、とも言えるのではないだろうか。

これまで、世界はコロナ対策で、他のことは置き去りにしてきた。
しかし、今後、情勢は変わっていく。
外交は、重要課題となっていくだろう。
中国、韓国、台湾、北朝鮮が絡む問題は、ずっと日本を悩ませてきたし、今後も加速していくと思える。
アフガニスタンの動きにより、米国はアジアに手が回らなくなる。
バイデン政権も基本路線はアメリカファーストである。
アジアで主導権を握るべきは日本なのである。
どうせ拉致問題を含めて、北朝鮮との関係が短期間で変わることはない。
中国は多くの国を相手にしすぎて手間取っている。
韓国は、悪手を打ち続けて、自滅傾向。
何のことはない、菅政権は、「勝手にやらせておけ」でうまくやってきたのだ。
これはこれで評価できるのでないだろうか。

しかしこれから、中国の揺さぶりは大きくなっていくだろう。
尖閣諸島をめぐる日中台の関係は、微妙なバランスにある。
もし、台湾で不測の事態がおこったら、日本はどうするのだろうか。
麻生副総理は、台湾で問題が起きれば、日米で台湾を防衛すべきだと述べたらしい。
しかし、日本は憲法九条によって軍事力を抑制されている。
米国頼りなのである。
武力を持たないなら、せめてアジアにおける日本の地位をより強固にすることは急務なのである。

韓国との関係がどうなっていくのかも興味深い。
韓国の立場は弱い。
日本と同様に、米国との協調がなければ存続できないのが現実だろうに、ブレ続けている。
米国との関係を壊したくはなく、しかし中国やロシアにも寄りたい。
うまくいくはずもなく、国内の批判は広がっていく。
その批判をそらす手段として、反日を煽り、政治利用したというだろう。
このムン政権のやり方には、日米はもとより、中国でさえも評価はしていないだろう。
ムン政権は、一度は合意した慰安婦問題を、いとも簡単に反故にした。
あの合意の立会人となったのはバイデン氏ではなかったか。
米韓の関係が悪くなれば、中国は喜んで韓国に対して、さらに要求と圧力を強めるということが理解できないのだろうか。

日本も今後、指導者が変わり、もしかしたら与野党の交代もあるかもしれない。
人は変わる、政治も変わる、国際情勢も変わるし外交も変わる。
それぞれの状況下で、より良い手を打ち続け、柔軟に対応していくことは重要だろう。
しかし、変えてはいけない項目はある。
どこの世界でも一緒だろう。約束は守らなければいけない。
利益の追求よりも大切なものがある。
これを踏まえて日本は、国際社会の信用を得て、アジアの中心となり続けなけれなならない。
日本と協力しなければ、アジアの安定はないと、知らせねばならない。

ワクチンについて

やはり、こうなってしまったのか…という感が強い。
ウイルスとの戦いは、長きにわたり、先が見えず、為政者は、「ただ自粛しろ、耐えろ!」と国民に強いてきた。
市民の中には、不信は募り、断絶は起こり、制御は効かなくなり、全国新規感染者数は2万人超えの日々。

ただ、ここで冷静にならなければいけないだろう。
感染者数だけに目を向けず、重症者の割合が重要と思える。
ワクチン接種の浸透とともに重症者の割合は減っているのは確か。
これまでの方針は、大きくは間違っていなかったろう。
変異株の影響が思いのほか大きかった。
ただ、感染者が増えるに伴い重傷者も当然増加している。
方向転換は、必要だし、転換したから、これまでを否定することでもない。

今後、我々は、コロナと共に生活していく覚悟は必要だろう。
コロナはなくならない。
もう、周りのどこに感染した人がいて、自分もいつ感染するかわからない。
疑心暗鬼に陥り、殻を作り、活動する人を非難し続ける時期は過ぎていると思えるのは私だけだろうか。
もう、経済だけでなく、教育や文化の面でも、これ以上の社会生活を抑え続けるのは、悪影響が大きすぎる。
自分や身近な人に感染するのは当然だという認識が必要だろう。
これまで我々は、行動を制限し、感染防止に努めて、時が過ぎるのを待ってきた。
ディフェンス一辺倒から、攻めに入る時期に来ているのではないだろうか。

医療体制の構築が急務だろう。
なんで今まで、できてないのだ?というのが疑問であり、怒りさえ覚える。
民間の医療機関の多くは、院内感染を恐れ、新型コロナ患者の受け入れを拒んでいるのが現状ではないか。
へたに新型コロナ患者を受診したせいで、風評被害により、小さなクリニックなどは経営存続も危ぶまれるという、なんともお粗末で物悲しくなる世の中である。
院内での感染者の蔓延により、医療体制が取れなくなる。だから受け入れを制限せざるを得ない。
これは当然の主張のようにも思えるが、果たして、それが医療機関としての義務を果たしているといえるのか。
必要な治療を行わない医療機関に存在価値はないだろう。
これからの医療現場では、新型コロナの患者と他の患者との共存を避け続けることはできない。
感染が増加することで、重症者も増える。
ハード、ソフト両面での整備が急務だろう。
すべての医療機関が、医師の責任の下、診断と加療を行う。
それが、なぜ、これまで、できていない。
ありがたいご意見を日々発信していた感染症の専門家も、それを盲信した政治も、予測できなかったのか。
医療機関もなるべくなら、負担やリスクを負うことなく、経営を続けたいだろう。
しかし今やらねば国が傾く事態だと思える。
今後の行政の使命に他ならない。
医師会という組合が、政治と結びついて、重要事案を阻害しているのではないか、という疑問を持つのは私だけだろうか。

国家予算の40パーセントを超える社会保障費。
さらに、予備費からコロナ対策として数兆円が使われる。
この巨額の税金を生かすも殺すも政治であり、それを選ぶのは私たち、有権者である。
選挙は近まっている。
いまだ、感染者数の増減だけにこだわり、批判、言い訳に固執する者がいるかもしれない。
いったい誰が、どの政党が、コロナは終息はしない世の中で、納得できる政策を用意できるのか、特に注目したい。