総理大臣指名選挙

総理大臣指名選挙によって、岸田総理大臣が誕生した。
これからどうするのか、の話だから、期待もしないしがっかりもしない。
ただ、なるほど、議院内閣制だなあ、とあらためて思った。
河野氏の票数で肉薄しており、国民の支持は、河野氏が上だったのではないだろうか。
しかし、自民党議員、党員は岸田氏を選んだ。
仲間内で、さらにどれだけ仲間を作れるか、で日本のリーダーは決まる。
必要なのは人望なのである。
だから、その基盤は弱く、権限も大したことはない。
だが、リーダーはリーダーである。

まずは、衆院選であるし、この結果が出ねば何も始まらない。
政権交代、首相交代の可能性もある。
枝野氏は、岸田総理の誕生に際し、「自民党は、変わらないし、変われない」と語った。
内心、少しは喜んでいることだろう。
河野氏は、型破りというイメージで、現状に満足できない人々には人気が高い。
何か変えてくれる、と期待させるイメージがある。
河野総理の誕生は、自民党の支持率を一時的に引き上げ、選挙には有利に働いたはずなのである。
しかし、自民党員はあえて、岸田氏を選んだ。

私は岸田氏に対して、中途半端という印象が第一に来る。
本来リベラル派の人物である。
しかし、安倍氏ら保守層に近い発言も多い。
バランスをとるというか、配慮をする、人物であろうか。
だから、多くの支援を受け、総理になれたのだろう。
ただ、二階氏とは、抗戦する姿勢も見せた。
読めない人物なのである。
今後、政権を運営するにあたっても、何事もうまい具合に調整し、切り抜けていくつもりでいるのなのかな、という気がしている。
しかし、それが新総理のカラーだとすれば、なんとも物寂しい限りである。
新政権には課題が山積みなのである。
まずは経済を立て直さなければ、日本の未来はない。
新型コロナに痛めつけられ、対策費に多くのお金が消えた。
東京五輪の半ば強硬ともいえる開催でも、負債は増えた。
そして、選挙を前にばらまき政策をぶち上げねばならないだろう。
そんな公約も、すべて反故にするわけにはいかない。
時限立法の形をとってでも、実現させねば政権に未来はない。
短期的には国民にはうれしいかもしれない。
しかし最終的なしわ寄せは、国民に来るのである。

問題は選挙後である。
ばらまいても、ぶち上げても今は構わない。
しかし、納得のいく着地点は必要である。
どう我々を納得させてくれるのか。
どれほどのリーダーシップを取っていけるのか、まずは、冷静に見ていきたい。
国民がしっかりと判断すべき時だろう。

総選挙前

総選挙前になると、政治家さんたちが忙しくなる。
人の動きとともに、うんざりする駆け引きが見え隠れして、目をふさぎたくなる。
岸田政権の幹事長に、甘利氏の顔を見て、何か力が抜ける気がしたのは私だけだろうか。
この人物は、永田町で常に繰り返されている、国民抜きの権力闘争を代表するような人物だと思う。
甘利氏は本来、河野太郎氏の父、河野一郎氏に仕えた人物である。
しかし、その後、河野一郎氏の元を離れ、山崎拓氏の派閥に入る。
この山崎派のなかでの、石原伸晃氏との争いに敗れ、派閥を去る。
そして、安倍氏と石原氏の総裁選においては、安倍氏の応援に尽力し、石原氏落としに画策、安倍総理の実現に寄与した。
安倍氏という人は、お友達を大事にする。
安倍政権の下では、安倍、麻生、甘利の3Aと呼ばれ、政権の中心にいた人物である。
しかし、URの口利き疑惑で、大臣を辞任し、表舞台から姿を消した。
それが、今回、岸田新政権の下で華々しく戻ってきたのだ。
別に、スキャンダルはどうなった?などと言う気はない。
口利きなどありふれたものであり、表面化したのは運が悪かった。
ただ、身近な敵に足元をすくわれただけの話であろう。
常に抗争の中心に身を置き、あちこちに寝返りながら浮いたり沈んだりしつつも、うまく立ち回り、しぶとく戻ってくる。
こういう人物は、次第に力をつけ、認められていくのが、私は気味が悪いのである。
今後、安倍、麻生の力も弱まっていくだろう。
新しい勢力は、岸田であり、もしくは河野や、また違う人物に変わっていくのかもしれない。
その移り変わりの中でも、影響力を持ち続け、暗躍する人物が今後甘利氏になるのではないかと思えるのだ。
甘利氏は、首相となる器ではない。
しかし、取り入れやすい者を懐柔し、甘い汁を吸わせ、敵対する者は排除するすべに長ける、権力闘争のプロなのだと思う。
それを悪いとばかり言うつもりはない、力を持たなければよい仕事もできないだろう。
だが、このこういう人物は、力を持つことが、手段ではなく目的となり、戦略も政策も国民さえも駒とする、政治家の裏の姿を具現化した存在と見えるのだ。
甘利氏の悪口ばかりを書いたが、腐敗を指摘すべき人物はどれだけでも列挙できる。
立法、行政、司法の関係者は、不透明な人間関係でつながっている。
最近は、追求すべきマスメディアさえも、取り込まれている例を見聞きすることが多い。
これが日本の政治の形態であることに、今さらながらうんざりする。
誰が総理となっても、どの政党が政権を握っても、変わることはないだろう。

 

近づく選挙

選挙を前にして、立憲民主、共産、社民、れいわ新選組の野党4党が、野党共闘を呼びかける市民団体「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」との政策合意に調印した。
とにかく、選挙協力して、候補者の擁立を一本化して、潰し合うのはやめようということか。
自民党政権が行ってきたことを、とにかくひっくり返さないと、何も始まらない、だから一旦手を組もうとしている、と理解していいのだろうか。
しかし、まだわからないことはたくさんある。
仮に政権をとったら、ビジョンはあるのか?
候補者は一本化できても、政策は一本化できるのか。
安保法制の廃止の主張は理解できる。では、廃止したのちの安全保障をどうするのか?
立憲主義の在り方については、4党でかなり開きがあると思うのだが、どう進めるのか?
まさか、候補者の調整に手いっぱいで、説得力のある公約を掲げられないということはあるまい。
協力して、1億人の国民の生活と安全を守る国の運営を行くと言っているのだから。
楽しみにして待ちたい。

とにかく、期して、枝野幸男という人物が、野党勢力の顔となったとみていいだろう。
私は、今度の選挙は、これまでの自民党政権の価値を問うというより、枝野幸男を中心とした野党勢力の真価をを問うものだという気がしてきた。
野党共闘は、ゴタゴタの末に、やっと実現したものだ。
まだ完全な形ではない。
しかし、ここで結束することができた。
反自民というだけではなく、国民が納得できる共通政策を掲げ、戦ってもらわなければならない。
もし、今回、期待外れに終わったら…。
現日本に真のリベラルは存在しないことになり、もはや野党の存在価値すら失われると言えまいか。
まずは政権を取らなければ始まらない、政策はそれからだ、という論者も見受けられる。
それはあまりにも国民を馬鹿にしていないか。

各党は、、実現可能な公約を示してもらいたい。
残念ながら私たちはあまり学ばない、すぐに忘れる傾向がある。
自民党は消費税は全額社会保障費にあてると公言した。
しかし、消費税を上げたのち、所得税・法人税を大幅減額している。
実質、金持ちに分配したとしか言いようがない。
民主党が政権を取った後のゴタゴタも思い出さなければいけない。
沖縄基地問題で、鳩山氏は、「最低でも県外」と公言した。
後に、あれは当時の代表の発言であって、党の公約ではないと主張し、基地移転を辺野古へ決めた。
こんな嘘は、ほんの一部に過ぎない。
これから、各党においては、公約の大盤振る舞いが始まるかもしれない。
約束は守らなければいけない、嘘はついてはいけない。
子どものころ教えられたはずである。
小学生以下の倫理観をもった政治家や政党はいらない。
今の私たちに本当に必要な政策は何か、真実を語る人物はだれか。
国民がしっかりと判断すべき時だろう。