今年はハリウッドスター、ジョニー・ディップが日本にやってきて、映画の撮影を行うとか行わないとか…
「MINAMATA」というタイトルの映画が製作されるのは間違いないようですね。
これは水俣病をテーマにしているもので、ジョニーは、水俣病を追いかけ、世界に紹介し続けた実在の写真家ユージン・スミスに扮するとのこと。
日本を舞台にしたハリウッド映画、その主演は世界中で名前を知られた大スター。
ならば、大きな話題になりそうなものですが、どうもテーマがデリケートなだけに、日本としては扱いが微妙になりそうです。
そもそも水俣病とは、企業チッソが熊本県で引き起こした公害病、と簡単には片付けることが出来ません。
当時日本はまだ戦後間もない時期。
日本はものすごい勢いで経済発展に尽力していました。
環境なんかに目を向けるなんて馬鹿げていたのですね。
この時期に、化学肥料を製造する大切な企業が有害な水銀をまき散らし、そのせいで多くの人が健康被害で苦しんでいる、なんてことが公になれば大事です。
日本の復興にブレーキがかかる恐れがあったのです。
だから、国も、熊本県も、医療機関も協力してこの問題をうやむやにしようとしました。
被害を放置し、患者たちを切り捨てようとしたのです。
しかし結局、ユージン・スミスのようなジャーナリストや海外の科学者によって水俣病は解明され、世界に知れ渡り、最終的にチッソも国も裁判で完全に敗北しました。
今でこそ中国などを環境問題でこき下ろすことの多い日本ですが、ほんの60年ほど前には同じかもっとひどい有様だったのかもしれません。
水俣病が問題化した時、患者団体やその支援者、ジャーナリストたちは迫害されました。
考えられないような暴力的な被害に遭う人がたくさんいたのです。
ユージン・スミスもヤクザに襲われ、背骨を折られる、片目をつぶされる、という瀕死の大けがを負います。
それでも、水俣を離れず、患者に寄りそい、写真を撮り続けて世界にその事実を発信し続けたのです。
そのような姿が映画では描かれるのだろうと予想されます。
さて、こうしたヤクザによる暴力は、誰かが指示したから行われたとみるのが当たり前です。
解明されてはいませんが、その中心となったのではなかろうかと噂されるひとりの人物がいます。
江頭豊という人です。
この人は水俣病が問題となった時期にチッソの社長・会長職にあり、問題の交渉、沈静化にあたった人物です。
水俣病の原因を作ったのはこの人ではありませんが、この人の対応のあり方が問題をこじらせ、多くの人を不幸にしたのは確かだと思われます。
この江頭氏の娘は外交官の大和田恆氏と結婚し、長女雅子さんが生まれます。
江頭氏は現在の皇太子妃の祖父にあたるのです。
「MINAMATA」という映画、時期も微妙ですね。
雅子様は5月には皇后さまになられます。
映画はそんな話題性も狙っているのでしょうか?
日本政府なども、映画での公害原因企業の中心人物の描かれ方には興味があるでしょう。
内容次第では何らかの対応があるのでしょうか。
また、日本のファンはやっぱり黄色い声援で歓迎するのでしょうか。
注目したいですね。