リーマンブラザーズ

悪いシナリオを考える癖がついている。
ネガティブ思考はよくないのかもしれないが、リスクを予想し、備えるためには必要なことだと思う。
最近は特に、悪いことばかり考えてしまう。

まず、日銀総裁が10年ぶりに交代した。
黒田前総裁は、徹底した金融緩和を続けてきた。
これはある程度評価できるものだと思う。
デフレからの脱却は実現した。
しかし、あまりに緩和路線にこだわりすぎたのではないかと思う。
デメリットもあったのだ。
彼は、まったく自身が残した負の遺産に目を止めることなく去っていった。

今後、植田新総裁は、良いものは残し、悪いものはやめる、という当たり前の政策を行っていくだろう。
膨れ上がった国債の処理もある。
おそらく金利は上がるだろう。
金利が上がれば、物が売れなくなる。
住宅などの大きな買い物が控えられる。
しかし、不動産業は売りたい、金融機関はお金を貸して金利で稼ぎたい。
歴史は繰り返されるものだし、人は喉元を過ぎれば熱さを忘れるものだ。
リーマンブラザーズのようなことが日本で繰り返されるかもしれない。
需要と供給のバランスが大きく崩れたら破綻が起こる。
いったん崩れたら、ドミノが起こる。
資金調達に困難をきたせば、企業は脆いのだ。
次々に経営破綻し、経済危機は世界的に波及していくかもしれない。
いまだコロナは終息には至らず、先行きは不透明だ。
恐る恐るで、事業を進める企業は多いだろう。
しかし前に進まなければ生き残れない。
やみくもに進めば突然足元が崩れる危険性をはらむのが今の経済なのだ。

今後、望まれるのはバランスだと思う。
これまでの政策では、デフレを避け、緩やかなインフレを目指した。
物価が上がっても、賃金を上昇させることができず、国民生活は困窮しつつある。
これを金利を下げ続けることでごまかしてきたのだ。
そして国は、国債を増やし、お金をばらまいた。
これは道路や公共施設の建設に変換された。
コロナ対策、経済対策では物資に変換された。
この政策により、これらに関係した業種は潤ったのである。
しかし、そこまでで、その効果は断ち切られているのだ。
国民の生活は変わっていない。
この、限られた領域でお金を回す悪循環を変えない限り、格差は広がり、国民生活はよくならないし、不満は解消されないだろう。

今後果たして、インフレの中でも、同時進行で賃金も上がり、消費が行われ、経済成長を続けられる。
国政の恩恵はバランスよく国民全体にいきわたる。
少子高齢化の進むなか、一人当たりの大増税を受け入れ、膨れ上がった国の借金を返済していける。
そんな日本を作っていけるだろうか。
できなければ未来はない。
私は今、書きながら、寒気がしてきたのである。0

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