近づく選挙

選挙を前にして、立憲民主、共産、社民、れいわ新選組の野党4党が、野党共闘を呼びかける市民団体「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」との政策合意に調印した。
とにかく、選挙協力して、候補者の擁立を一本化して、潰し合うのはやめようということか。
自民党政権が行ってきたことを、とにかくひっくり返さないと、何も始まらない、だから一旦手を組もうとしている、と理解していいのだろうか。
しかし、まだわからないことはたくさんある。
仮に政権をとったら、ビジョンはあるのか?
候補者は一本化できても、政策は一本化できるのか。
安保法制の廃止の主張は理解できる。では、廃止したのちの安全保障をどうするのか?
立憲主義の在り方については、4党でかなり開きがあると思うのだが、どう進めるのか?
まさか、候補者の調整に手いっぱいで、説得力のある公約を掲げられないということはあるまい。
協力して、1億人の国民の生活と安全を守る国の運営を行くと言っているのだから。
楽しみにして待ちたい。

とにかく、期して、枝野幸男という人物が、野党勢力の顔となったとみていいだろう。
私は、今度の選挙は、これまでの自民党政権の価値を問うというより、枝野幸男を中心とした野党勢力の真価をを問うものだという気がしてきた。
野党共闘は、ゴタゴタの末に、やっと実現したものだ。
まだ完全な形ではない。
しかし、ここで結束することができた。
反自民というだけではなく、国民が納得できる共通政策を掲げ、戦ってもらわなければならない。
もし、今回、期待外れに終わったら…。
現日本に真のリベラルは存在しないことになり、もはや野党の存在価値すら失われると言えまいか。
まずは政権を取らなければ始まらない、政策はそれからだ、という論者も見受けられる。
それはあまりにも国民を馬鹿にしていないか。

各党は、、実現可能な公約を示してもらいたい。
残念ながら私たちはあまり学ばない、すぐに忘れる傾向がある。
自民党は消費税は全額社会保障費にあてると公言した。
しかし、消費税を上げたのち、所得税・法人税を大幅減額している。
実質、金持ちに分配したとしか言いようがない。
民主党が政権を取った後のゴタゴタも思い出さなければいけない。
沖縄基地問題で、鳩山氏は、「最低でも県外」と公言した。
後に、あれは当時の代表の発言であって、党の公約ではないと主張し、基地移転を辺野古へ決めた。
こんな嘘は、ほんの一部に過ぎない。
これから、各党においては、公約の大盤振る舞いが始まるかもしれない。
約束は守らなければいけない、嘘はついてはいけない。
子どものころ教えられたはずである。
小学生以下の倫理観をもった政治家や政党はいらない。
今の私たちに本当に必要な政策は何か、真実を語る人物はだれか。
国民がしっかりと判断すべき時だろう。

首相退陣

予定通りか、菅総理の退陣が決まり、自民党総裁選を自民党員や自民支持者のみならず、野党陣営も注目しているところである。
野党にしてみれば、面白くはないだろう。
世の中の問題点を、何かにつけて菅政権のせいにして攻撃してきたわけで、その相手が急にいなくなるわけだ。
誰が総理となったとしても、これから始める人間に責任を問うのも限界がある。
日本のリーダーの新しい顔に対しては、世論も少なからず期待を持つだろうし、それを頭から否定しては、そもそも低迷しきっていた野党の信用をさらに落とすことになる。
個人的には高市氏が面白いかもしれないという気がするが、誰が総理の椅子に座ったとしても、先はわからない、というのが予想だ。
候補者それぞれに、大したカラーの差はない。
ただ、今後やるべきことははっきりしている。
コロナとの付き合い方。
世界情勢を読んで、各国との付き合い方。
この2点が重要課題だろう。
どういうアプローチをしていくのかを注目したい。

私が原稿を書いている時点で、コロナの累計患者数は約167万人。
実際はこの4,5倍いてもおかしくないが、それは置いておいて。
死者数は1万7千人。
数字上、約1%の人が亡くなっている。
しかし、その中には、たとえコロナに感染していなくても、他疾患や高齢でなくなっていたであろう人も含まれているはず。
0.数%の死亡率ということになるだろう。
それでも、インフルエンザの死亡率に比べれば、10倍以上だろうし、肺炎を起こし重症化する可能性は高い。後遺症の問題もある。
ただ、報道はレアケースをセンセーショナルに抜き出し、実際にどれほどの危険度があるのか、あまり伝わってこない。
ワクチン接種もだいぶ浸透してきた。
いくらなんでも、もう、数字を基礎とした今後を予想し、そのベストな在り方を判断できるだろう。
感染予防にだけ徹するわけにはいかない。
医療機関のコロナ患者受け入れ態勢の構築、エクモなどの配置は急務だろう。
しかしエクモの操作には、専門的知識と技術を持ったMEの存在が必要だと聞く。
こうした人材の確保、もしくは簡易化された装置の現実化。
これらの構築を急がなければいけない。
子どもたちは、外に出るな、学校に行くな、運動するな、会話するな、無茶な要求を強いられている。
大事な成長期に大事な時間を奪われて、必ずや後の影響は出てくると考えるのは私だけだろうか。
感染を完全に食い止めることはできないと、分かったではないか。
社会は、今後も一定数の患者を受け入れながら、自由に行動できる日常を取り戻さなければいけない。
そのうえで、命の選別もありえるのだという議論を進めるべきだろう。
状況は刻々と変化していく。
机上理論で予測を立てることはあまり意味がない。
専門家の意見が信用できないことは存分に思い知った。
まだこれ以上も、感染者数の増減だけを取り上げて、政治利用する勢力があるなら、排除していかなければいけない。

もう一つ、外交関係。
アメリカの庇護を無くしたら、どうなるか。
アフガニスタンが証明してくれた。
しかし、アメリカに従属するだけでいいのか?
考える時期に来ている。
私はタカ派でも右派でもない。
しかし、外交は、譲歩させるか、するかのの世界だと思う。
日常的にその交渉を行うにあたって、軍備という後楯は必要だと思う。

思えば、似ている問題かもしれない。
コロナ対策も、外交も、守りを固めてきたこれまでから、前に進む政策を期待したい。