今回は日本大学アメフト部の悪質タックル事件についてです。
ワンプレーが終わってから大分時間がたって無防備な選手に後ろからタックルを仕掛けた動画はショッキングなものでありネット上で話題となりテレビなど大手メディアも注目するようになったこの事件ですが
怪我をさせた選手が自ら公の場に出てきて怪我をさせろという指示と恐怖政治があったということを語ったことで事態は急変して
20歳の選手なので成人になったばかりの選手が何百人の報道陣の前で冷静に自身のプレーや心情を吐露する姿は見ていて心苦しいものがありました。
日大監督陣が辞任に追い込まれる事態にまで発展しましたが、刑事事件に発展する可能性があり選手は傷害、監督、コーチは傷害教唆の罪に問われる可能性もあります。
ラグビーやアメフトはルールの範囲内でプレーしていても不幸にも下半身不随になったりすることもあるスポーツなので指導者は当然、安全管理に関して最新の注意を払っているものとなんとなく思っていましたが
アメフト界の名門チームが相手選手をケガさせる(と取られていても仕方がない)指示を出していたことが露見されたことは驚きでしたね。
学生スポーツは就職などの将来のルートや試合に出場させる人事権を大学側に握られて、スポーツ推薦の選手は単位が優遇されるようなこともあり、監督や大学側が選手に対して多くの権限を握りすぎてしまっていて監督に嫌われてしまうと人生が終わってしまうかのような錯覚に陥ってしまうのも無理はありません。
学生スポーツのあり方やいわゆる体育会系の体質について他のスポーツ界でも見つめなおす教訓としなければいけない事件だと思います。
もし、動画を録画していなかったら、SNSで広がっていなかったらと考えると今でも相手選手への怪我を目的にしたプレーを命令することが続いていたかと思うとぞっとしますね。
また、日本のどこかの部活で同じようなことが行われているかもしれないと思うと旧態依然とした体育会系文化の悪い部分は一日も早く無くなってほしいと願います。
そして、今回の日大アメフト部の事件は日本で現在問題になっている社会問題の縮図のような事件であったことが問題がここまで大きくなった理由だと個人的には思っています。
責任者が責任を取らないこと、トップが無能であること、責任を世代や立場が下の者に押し付けることなどはブラック企業問題、大企業で起きている隠ぺい事件や政治の世界で起きている官僚の文書書き換え問題を想起させます。
構造的な日本社会が抱えている負の側面としてこの事件を反面教師にしてこのような問題が減少していって欲しいですね。
カテゴリー: 政経塾
政経塾5月度の講義
国際政治の世界では米朝首脳会談が最大のトピックスとなっています。
そもそも北朝鮮と韓国が北緯38度戦で別れた理由は、日本が太平洋戦争に敗れ、領土としていた朝鮮半島にロシアが侵入してきたことが発端。
その後、アメリカと義勇軍(ボランティア軍)として朝鮮戦争に参加した参加した中国の間で1953年に休戦協定が結ばれて現在も休戦状態なんです。
この休戦協定を韓国と北朝鮮の間で無くして平和条約を結ぶと両首脳が希望しましたが
実は、これアメリカと中国の問題なんですよね。
この休戦協定には、南を資本主義国、北を社会主義国とすることでお互いに緩衝地帯として利用する狙いがアメリカとロシア及び中国の間にはありました。
今回、米朝首脳会談が行われるということは、北朝鮮の核の脅威が増してきたため核ミサイルの脅威を取り除く狙いがあるのと同時に、
緩衝地帯としての北朝鮮の必要性が薄らいできたことも理由の一因でしょう。
アメリカ対ソ連の冷戦構造はすでに終わりました。
ロシアは資本主義国となり中国も実質資本主義国です。
資本主義国の韓国と社会主義国の北朝鮮が緩衝地帯としてアメリカとロシアの間に入る必要性は軍事的にもイデオロギー的にもなくなったといってもいいでしょう。
そして、次なる世界の対立はアメリカ対中国の経済と軍事がつながった冷戦へと形が変わっていると思います。
その中で地理的にも経済的にも緩衝地帯の役割としてふさわしい国が変化していくのも当然といえます。
そして、その新たな緩衝地帯にふさわしいとされる国はおそらく日本。
日本と中国は経済的には強い結びつきがあり地理的にも近いアジアの経済をリードする同士。
一方で軍事的には自国軍を持たずに在日米軍に依存する日本の存在は、良いことかどうかは分かりませんがアメリカ対中国の直接対決を経済面でも軍事面でも避ける役割を担うことが出来てしまいます。
では、アメリカと中国に挟まれていく日本が歩むべき道とは何なのでしょうか。
基本的にどちらかに寄りすぎると依存してしまい属国化することで国益を損ないます。
どちらになびくかわからない自立した国でいることが重要だと思いますが
軍事、安全保障とエネルギー安全保障でアメリカに依存している日本は短期的にはアメリカに寄らざるを得ないです。
しかし、長期的には軍事的にもエネルギー安全保障の観点からも在日米軍や石油メジャーがいなくなっても構わないといえるだけの自立性を構築していく必要がありますね。
こういった視点から憲法9条について考えると「安全保障のための9条改正」の是非について国会で議論がされないことに問題があります。
政治家には長期的視点で天下国家を語る力が弱まりましたね。
昨今の国会は見るに堪えません。
金融緩和
ワイドショーと国会では森友学園に関する文書改ざん問題が取り沙汰されています。
個人的にこの問題に関する私の立場はシンプルです。
官僚の文書改ざんは議会制民主主義を成り立たせる上で根本的にやってはいけないことなので首相夫人がなんと言おうが関係なし。
基本的には財務省、近畿財務局の問題で、調べて行くうちに政治家が絡んでいた場合は法律に乗っ取って裁かれるべきですね。
森友学園を巡る一連の問題は官僚の文書改ざんが本質であることを忘れてはいけません。
司法、立法、行政の3権分立がこの国のシステムの基本で官僚の文書改ざんは行政におけるあってはならない問題ということですね。
この問題を政治問題にすることで支持率を落とすということを立法府である国会で長々と議論しいるところに野党の大衆迎合的な姿勢が見えます。
3権分立の上に立つ最高権力としての政権の影響力をどこまで認めるのかというシステムとしての問題でもあります。
政治主導での行政運営において行使しても良い裁量権があいまいなところも問題がややこしい部分ですね。
そして、多くの国民にもっと影響があるニュースももっと他にあります。
米朝首脳会談やTPP11などについても重要な問題ですから抑えておきたいこところですが
今回はこのニュースをピックアップ。
日銀総裁人事で黒田東彦総裁が再任されました。
黒田総裁といえばアベノミクスの第一の矢とされる金融緩和政策において日銀と政府が同じ方向を向いて大規模な金融緩和をしてきたことで有名です。
通称黒田バズーカですね。
そんなわけで今回は金融緩和政策について解説していきます。
金融緩和政策とは簡単に言うとお金を刷ること。
なぜお金をするかというとデフレ脱却の為です。
では、デフレとは何かというと需要が供給を下回る状態です。
つまり、買いたい量より売りたい量の方が大きいんですね。
当然、売りたい量が大きければ過当競争になるので物価が下がります。
物価が下がると言うことは裏返すとお金の価値が上がります。
お金の価値が上がるので使わないで貯めておく。
ますます、消費が減るというのがデフレスパイラル。
これをどうにかするための政策が金融緩和でお金をすることでお金の価値が上がることを防いで物価を安定させることで
将来的にお金の価値が下がると予想させて消費、投資にまわるお金を増やすという狙いがあります。
政策に関しては賛否両論あるかと思いますが、金融緩和政策は世界的に見るとスタンダードな政策であることは間違いないです。
ただし、世界的にスタンダードであることが結果を保障するわけではありません。
実際に安部政権となってから物価が下がる状態ではなくなりました。
しかし、本来ならお金を持っていても価値は上がらないので消費、投資に資金が周り景気が回復するはずなんですが、景気が回復しているかといわれると消費は増えていませんし実質賃金も増えていませんから景気は良くなっていないといえます。
ただし、悪くなっていないのが成果という見方も出来ます。
個人的には、金融緩和政策の方法に問題があると考えていまして お金を刷っても日銀から銀行を通じて市場へ流通させるやり方は市場にそもそも需要がないので銀行で止まってしまいます。
まず、需要を拡大させることが先だとすると取るべき政策は、刷ったお金を直接国民に配るヘリコプターマネー政策。
というのが私の考えです。
金融緩和はするべきだがやり方が最適ではないという立場です。
皆さんはどうお考えですか?
政治家の議論を聞いていてもアベノミクスに賛成か反対かの2択にしかなりません。
この記事を読んで金融緩和政策のメリット・デメリット、金融緩和政策の方法論を考えるきっかけとなると嬉しいですね。
また、このレベルで議論できるのが政治家として当たり前になって行って欲しいところですが・・・
しばらくは、難しそうです。