IT化の推進

IT化の推進という言葉を聴くようになってずいぶん経つように思える。
そもそもIT化とは、何なのか。
分かっていない人、置いて行かれている人も多い。
単純な話で、アナログで行っていた作業をデジタルに移行するだけの話である。
これにより、効率は向上し、労働者の負担は減るというのは確かだ。
しかし、それが労働者、企業のためになるのかと言えば、必ずしもそうとは限らない。
ドライバーは運転席に座っているだけで、目的地に人や物を運んでくれるだろう。
これが楽で助かるという人ばかりではないはずだ。
運転しなくなったドライバーは、ドライバーとは呼べない。
それでも働きたいと思うのか、働きたいと思っても、ドライバーという職種自体なくなるのかもしれない。
ドライバーが不必要となっても、生活のためにその職種にしがみつかねばならない人も出てくるだろう。
ドライバーを例にとったが、あらゆる職種でこういうことが起こるのかもしれない。
いかに生活のために働いているのだと言っても、労働にも意欲がなければ続かない。
労働者に限った危機感ではないのだ。
企業としても、自動化して効率化された業務は、システム業者に丸投げしたものであり、そこに努力はない。
IT化は、組織と人材を弱体化させる要因でもあるのだ。
はっきり言っていいと思う。
今後のIT化は人や組織をふるいにかけ、淘汰させるツールとなるだろう。

キャッシュレス決済に関しても、サービスはこれまで乱立してきた。
今後は撤退や縮小が目立ってくるだろう。
ペイペイとラインペイは統合した。
スマホ決済が躍進したと言え、やはりクレジットカード決済は安定して強い。
ただ、現金決済が消えていくのだけは確かだろう。

今後も変化していくだろう。
人の価値、組織の価値、物の価値、お金の価値が、動き、変わっていく。
これまで現金を取り扱うこと、人が働くこと、物を売ること、サービスを提供すること。
そういう当たり前のことに見積もられてきたコストが、意味のないものになる。
コストは原価だけではない。お金ですらない。
時間や疲労度、ストレスもコストだ。
この捉え方が、がらりと様変わりするのだ。
これについていけなければ、現社会の何物であろうと、今後は存在しえないのではないかという気がしている。
ITを導入すれば便利になる、と単純に考えている経営は失敗するであろう。
手段を目的化してしまう失敗はとても多いのだ。
今後、変化が加速多様化すれば、迷う経営者も増えるだろう。
あらゆる面で改革を迫られるのだろう。

コロナ

ようやく新型コロナの混乱から私たちは脱却しつつあるようだ。
一般の人にとっては、「たちの悪い風邪」くらいの病気と捉えていいだろう。
しかし、高リスクの人にとっては、依然警戒すべきウイルスであり、個々人で感染対策を講じると同時に、感染拡大を抑え込む配慮はすべての人に必要なのかもしれない。
徐々に、人の交流というのは活発になっていくだろう。
今後、経済に好影響を与えると期待している人は多いだろう。
果たして、どう推移していくのだろうか。

世界的に経済は緩やかに減速し続けてきた。
物価高と金融引き締めによる需要の停滞。
世界の経済と直結している中国経済の失速。
これが今後改善されるのは間違いないだろう。
アメリカやヨーロッパはインフレ下でも雇用や所得の環境は堅調に維持されてきた。
これからはこの環境下に於いて、緩やかにインフレの鎮静化、金利の緩和が進んでいくと予想される。
中国はコロナからの脱却により、経済成長を重要視した政策が進められるだろう。
欧米、中国の動きに従うように世界の経済は回っていくだろう。
しかしだ、欧米も中国も自国ファーストなのだ。
私たち日本の暮らしはどうなのであろう。
現在私たちの生活を苦しめているのは、雇用と所得の水準が物価の高騰に追いついていかないことにある。
今後先進国がいち早く経済活動を活発化させれば、エネルギー需要のひっ迫をもたらすかもしれない。
日本はしわ寄せを喰うのではないか。

私は日本がもうしばらくは、経済的に苦しむ状況から脱却できないのではないかという気がするのだ。
ウクライナ情勢は不安定なまま。
米中の対立は続く。
資源の取り合いは激化し、技術の流れは制限され、自国優先の政策が繰り広げられる。
日本の経済的安全保障は大丈夫なのであろうか。
先行きは好転する要素が多いのは事実だと思はう。
中国経済の復活とともに輸出産業が伸びると思われるし、インバウンド消費も好転するだろう。
ただ、不安要素も大きく存在するのだ。
インフレは改善されるのであろうか。
中国の不良債権は大丈夫なのか。
ウクライナ問題はいつまで続くのか。
台湾の平和は維持されるのか。
今後、急速にコロナからの脱却が進めば、私たちは浮かれるのかもしれない。
しかし、備えることはとても重要だ。
将来を予想して行動するだけではいけない。
政治は相場ではないのだ。
予想が外れたら損するだけではない、国民が路頭に迷う。
あらゆる結果を想定し、柔軟に対応できる体制が必要なのだ。
国家規模で、リスクを考えて慎重に行動すべきだという気がしている。

アメリカ総選挙

早いもので、もう来年にはアメリカの大統領選挙が行われる。
日本では、衆議院の解散総選挙が噂されだした。
政治は常に流動的で、何かのきっかけで保守と改革とに振れがちだ。
タイミング次第では小さな出来事から始まり、やがて大きなうねりとなり、世界を揺るがすことになる。
このままいけば、来年また、バイデンとトランプの一騎打ちとなるのだろう。
この大統領選を見るに、アメリカの衰退を感じるのは私だけであろうか。
バイデン氏は、来年82歳、個人差はあろうが、精神的体力的な衰えはあるだろう。
それから4年間、世界一の大国のかじ取りを任せるのか。
対するトランプ氏は熱狂的な支持者に支えられるも、スキャンダルにまみれている。
選挙での不正、機密文書の持ち出し、性的虐待と豊富な内容で起訴されている。
他に支持されるべき人物はいないのか。
この両者に代表される政治的な分断は国民の分断へと繋がっている。
アメリカにおいては、この分断が進み続けているような気がする。
トランプ氏の過激な言動は非難されもするが、熱狂的に支持する人もいる。
そして、その支持する人を、差別主義者として排除しようとする勢力が生まれる。
スパイラルは肥大しながら繰り返される。
この不安定な国と一蓮托生なのが日本であり、その代表が岸田総理なのだなあ、と不安と同乗の混ざった感情が生まれるのは私だけだろうか。

近年、世界の安全保障環境は大きく変わってきている。
かつて、自由主義諸国にとって中東のテロ組織が最大のリスクであった。
しかし、現在は中国、ロシア、北朝鮮という国家が軍拡に励み、核を備えて脅威を与えて続けているのだ。
対抗するために戦力を増大させる愚かさを持ち得ないのが、我々民主主義国家の賢明さであり危うさでもあろう。
脅威がエスカレートしたとき、日本は結束と分断のどちらを選ぶのであろうか。
誰を指導者として選ぶのであろうか。
脅威がさらなる現実味を帯びる日は近いかもしれない。

今後、夏から秋にかけて、急に解散風が吹き出すのかもしれない。
今現在は野党がごたついているが、いずれ落ち着く。
維新の台頭は侮れないが、全国規模で候補者を擁立するのは困難であり、何でもいいと擁立した候補に風が吹けば結果は怖いものとなる。

アメリカの分断が進み、国際情勢の不安定も進み、影響を受けた日本の政治と経済が混乱する。
不安と不満で国民感情が乱される中、なし崩し的に選挙が行われれば、この国の安定など豆腐のように脆いものであろう。
高齢少子化に伴う社会保障、増税の是非、安全保障、物価上昇への対策、時間をかけて議論し解決していかなければいけない問題は山積みされているのだ。
混乱に乗じて台頭する勢力は破壊をもたらすことが多い。
注意深く見守ること、冷静に思慮深く判断すること、これは私たち一人ひとりにとって大切なことだと思える。