政経塾5月度の講義

国際政治の世界では米朝首脳会談が最大のトピックスとなっています。
そもそも北朝鮮と韓国が北緯38度戦で別れた理由は、日本が太平洋戦争に敗れ、領土としていた朝鮮半島にロシアが侵入してきたことが発端。
その後、アメリカと義勇軍(ボランティア軍)として朝鮮戦争に参加した参加した中国の間で1953年に休戦協定が結ばれて現在も休戦状態なんです。
この休戦協定を韓国と北朝鮮の間で無くして平和条約を結ぶと両首脳が希望しましたが
実は、これアメリカと中国の問題なんですよね。
この休戦協定には、南を資本主義国、北を社会主義国とすることでお互いに緩衝地帯として利用する狙いがアメリカとロシア及び中国の間にはありました。
今回、米朝首脳会談が行われるということは、北朝鮮の核の脅威が増してきたため核ミサイルの脅威を取り除く狙いがあるのと同時に、
緩衝地帯としての北朝鮮の必要性が薄らいできたことも理由の一因でしょう。

アメリカ対ソ連の冷戦構造はすでに終わりました。
ロシアは資本主義国となり中国も実質資本主義国です。
資本主義国の韓国と社会主義国の北朝鮮が緩衝地帯としてアメリカとロシアの間に入る必要性は軍事的にもイデオロギー的にもなくなったといってもいいでしょう。

そして、次なる世界の対立はアメリカ対中国の経済と軍事がつながった冷戦へと形が変わっていると思います。
その中で地理的にも経済的にも緩衝地帯の役割としてふさわしい国が変化していくのも当然といえます。
そして、その新たな緩衝地帯にふさわしいとされる国はおそらく日本。
日本と中国は経済的には強い結びつきがあり地理的にも近いアジアの経済をリードする同士。
一方で軍事的には自国軍を持たずに在日米軍に依存する日本の存在は、良いことかどうかは分かりませんがアメリカ対中国の直接対決を経済面でも軍事面でも避ける役割を担うことが出来てしまいます。

では、アメリカと中国に挟まれていく日本が歩むべき道とは何なのでしょうか。
基本的にどちらかに寄りすぎると依存してしまい属国化することで国益を損ないます。
どちらになびくかわからない自立した国でいることが重要だと思いますが
軍事、安全保障とエネルギー安全保障でアメリカに依存している日本は短期的にはアメリカに寄らざるを得ないです。
しかし、長期的には軍事的にもエネルギー安全保障の観点からも在日米軍や石油メジャーがいなくなっても構わないといえるだけの自立性を構築していく必要がありますね。
こういった視点から憲法9条について考えると「安全保障のための9条改正」の是非について国会で議論がされないことに問題があります。
政治家には長期的視点で天下国家を語る力が弱まりましたね。
昨今の国会は見るに堪えません。